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PMSの不眠(月経前不眠症)とその対策

公開日: : 最終更新日:2014/07/18 PMS(月経前症候群)の症状

PMSによって引き起こされる不眠は日中の眠気とセットになって悪循環を起こしている人が多くいます。PMSの眠気(月経前過眠症)とその対策の記事と一緒に読んで原因をうまく抑えて改善につなげましょう。

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Photo by mislav-m

 

症状

月経と関係した睡眠障害にはいくつか種類がありますが、PMS期に起こる不眠は「月経前不眠症」といいます。

月経の前に心身が不調になる「月経前症候群」がある人は、女性の30~80%もいます。ある調査では、41%の女性が月経に関連して睡眠に変化があり、そのうち、1%は月経前不眠症43%は月経前過眠症5%は月経時不眠症であったと報告されています。

生理の前に眠くなる「月経関連過眠症」とは? [不眠・睡眠障害] All About

月経前不眠症の人は生理によって睡眠に変化があった人の1%程度とそれほど多くはありませんが、実感としてはちょっと少なすぎる印象がありますね。

月経前不眠症の定義は「月経前に眠れなくなること」とやや曖昧で不明な部分が多いのですが、もしかしたら月経前不眠症とまでは言えない軽度の不眠は入っていないのかもしれません。

 

PMSの不眠は「寝付けない」「起きてしまう」

一般的な不眠症には、入眠障害・中途覚醒・早朝覚醒・熟睡障害があるとされていますが、PMSの不眠の症状は、寝付きが悪い「入眠障害」や寝始めてもすぐ目が覚めてしまう「中途覚醒」が多いようです。

月経が始まる1週間前くらいから、寝つきが悪く、途中で目が覚めることが多くなります。

【代表的な睡眠障害】 花王 ロリエ

ただしこれは個人差があり、4つ全てがある人もいれば、寝付きは悪いけど一度寝れば朝まで熟睡はできる人もいて様々です。

まずは自分がどんなタイプか、一度思い返して把握しておきましょう。

 

不眠の原因

PMSによる不眠の原因は、この時期(月経前)に起きるプロゲステロン(黄体ホルモン)の増加エストロゲン(卵胞ホルモン)の減少です。

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睡眠不足は女性ホルモンを減らす:日経ウーマンオンライン【眠れる夜の美女】

この2つの変化は、それぞれ別の理由で不眠を引き起こす効果があります。

 

プロゲステロンの増加によって体が起きてしまう

PMSの眠気(月経前過眠症)とその対策」でも解説しましたが、人間の体は体温が下がると眠くなり、体温が上がると目が覚めるように出来ています。黄体期にプロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌が増えると、女性の体温は上がったままになってしまいます。

つまり、体が日中の状態(覚醒モード)のままになってしまうことで不眠が起こります。

 

エストロゲンの減少で睡眠ホルモンが不足する

一方、エストロゲン(卵胞ホルモン)の減少は、セロトニンという脳内物質の分泌を低下させます。

女性ホルモンのエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)は、月経周期でその分泌量は大きく変わります。

特にエストロゲン(卵胞ホルモン)が減ると、それに伴って脳内物質のセロトニンも急激に減ります。

各種の誘因とセロトニンの関係
※PDFファイルです

このセロトニンは心や体に色々な役割を果たす脳内物質なのですが、睡眠に関係することとして「メラトニンという、睡眠に入るためのホルモンの原料になる」という性質を持っています。

つまり、

  1. エストロゲンが減ると、
  2. 同時にセロトニンが減って、
  3. メラトニン(睡眠ホルモン)が作られなくなり、
  4. 不眠になる

 

というわけです。

メラトニン不足は一般的な不眠症の原因でもありますが、このような理由からPMSの不眠はエストロゲンが減少するタイミング(排卵後と月経日前後)に起こります。

※セロトニンとメラトニンについての詳しい説明は東邦大学医学部統合生理学教授の有田秀穂氏のインタビュー記事をどうぞ(長いですが…)

セロトニンDojo 公式サイト

 

PMSの他の症状で眠れない

PMSの不眠は上記の2つが直接的な原因と言って良いと思いますが、実際に「PMSで眠れない」「生理前で眠れない」という人の声を聞いてみると、他のPMS症状が辛くて眠れないという場合も多いようです。

 

痛くて眠れない

体の痛みや頭痛、むくみによって寝付けない人が多いようです。

 

緊張・不安・イライラで眠れない

気持ちが落ち着かず、寝ることに集中出来ない人もいます。

 

寝付けないから色々なことが気になってしまう?

痛みやイライラで眠れないのは、たとえば、車が通る音や時計の秒針の音がいつもより気になってしまうように、体が刺激やストレスに対して過敏になってしまっているからかもしれません。

 

自分でできる不眠対策

PMSの不眠の対策はほとんど通常の不眠対策と同じですが、プロゲステロンの増加による不眠、エストロゲンの減少からくる不眠によって分けてみたので、それぞれ試してみてください。

体をおやすみモードにしよう

プロゲステロンによって覚醒モードになって昂ってしまった体を落ち着かせて眠りやすくしましょう。寝る前できるちょっとしたことが多いので、自分に合ったものを習慣化してはどうでしょうか?

 

やったほうが良いこと

  • ハーブティーなどの温かい飲み物を飲む
  • アロマの香りで気持ちを落ち着かせる
  • 寝る少し前から部屋の明かりを暗めにする
  • 入浴や半身浴(2時間以上前にぬるめのお湯で)

 

やらないほうが良いこと

  • 寝る直前の運動(体温が上がって逆効果です)
  • モニター(TV・携帯・パソコン)を見ない
  • 寝酒(睡眠の質を下げてしまいます)
  • 当然、カフェインはもってのほか

 

セロトニンとメラトニンを増やそう

エストロゲンの減少によって減ってしまったセロトニンを活性化させて、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌を増やしてましょう。

前出の有田秀穂氏のインタビュー記事では、セロトニンについて次のようなことが良いと述べています。

  1. 太陽の光を浴びる
  2. リズムのある運動(ウォーキング、呼吸、咀嚼など)
  3. グルーミング(人とのふれあい)
  4. トリプトファンを含む食品を食べる

 

また、睡眠ホルモンのメラトニンを増やすためには、2~4は夜に行なうことが良いとしています。

メラトニンがセロトニンから合成される重要な条件は、「太陽の光がない」ことです。つまり、日が沈んでからメラトニンが合成される、というのが生理学的な特徴になります。夜にトリプトファンを含む食品をとり、その後にリズム運動やグルーミングを行うのは、メラトニンを作り出すという視点から考えると重要ですね。

 

太陽の光を浴びる

メラトニンが作られるのは夜ですが、その元になるセロトニンは朝、太陽の光を浴びることで活性化します。毎朝起きたらカーテンを開けて、15分~30分程度朝日を浴びるようにしましょう。

 

リズムのある運動(ウォーキング、呼吸、咀嚼など)

ウォーキングは朝にすると良いでしょう。

呼吸は腹筋を収縮させながら「吐くこと」を意識して5分以上30分以内、毎日続けられるくらいの負荷にしましょう。

※歌を歌ったり、笑ったりも良いみたいです。

 

グルーミング(人とのふれあい)

グルーミングは、仕事を終えた後の「オフの時のセロトニン活性」という意味で、太陽の光とリズム運動とは少し異なります。

(中略)

それを人間社会にたとえると「人と人とが近い距離でふれあうこと」が原則になります。具体的には、「仕事後の赤ちょうちん」「おしゃべりをしながらの井戸端会議」「家族で食事をする」、またそれに近い行為で「お風呂屋さんで一緒にお風呂に入る」というのもあります。これらの行為の結果として、何になるかというと「疲れが取れてストレス緩和になる」のです。

グルーミングというのは「毛づくろい」のような意味ですが、ここでは「信頼できる他人(家族・友人・恋人)との心と体のふれあい」と考えてよいでしょう。

夜、日が暮れた時にそういう相手と一緒に何かをすることで、セロトニンが睡眠ホルモンであるメラトニンに変化しやすくなります。

 

トリプトファンを含む食品を食べる

トリプトファンは、ビタミンB6やナイアシン、マグネシウムと一緒になってセロトニンの原料になる必須アミノ酸ですが、体内で作り出すことが出来ないので、食品から摂る必要があります。

 

トリプトファンが多く含まれる食品まとめ | サプリで睡眠の質を改善しましょう!

※リンク先は100gあたりのトリプトファン含有量の表なので「すじこ」や「ごま」など一度にたくさん食べられない食品も入っています。

 

トリプトファン自体はそれほど珍しい栄養素ではないので、バランスの良い食事でいろいろな食品から少しずつ摂取すればいいと思いますが、集中的に取りたい場合はサプリを飲んでみるのも選択肢の一つです。

 

他のPMS症状を和らげる

頭痛・腰痛・足のむくみなどの身体的症状で眠れない場合は、各症状を緩和させるかPMS自体の改善が必要です。それぞれの改善方法を試してみてください。

まとめ

さて、どうでしたか?PMSの不眠について理解は深まったでしょうか?

補足ですが、対策としては「体をおやすみモードに…」がすぐ出来ること、「セロトニンとメラトニン…」が予防や体質改善的なことになっていますので、それぞれ使い分けていただけると、と思います。

よくよく調べてみてわかったのですが、セロトニンは他の症状にもかなり関係が深いようです。また他の記事でも取り上げたり、セロトニン自体の詳しい記事を書きたいと思いますのでお待ちください。

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